音楽史トライアル(古代ギリシャ・ローマ)

ピュタゴラス音律

音律は、音楽で用いる音の高さの関係を、数によって規定したものである。音の高さは振動数によってきまるが、2つの音の間隔(音程)は、それらの音の振動数の比=音高の比によって示される。その比を決めるのが音律であるが、これまで様々な音律が用いられてきた。

ピュタゴラス音律は、音高の比が2:3となる音程、すなわち純正なをつみかさねていくことによって、西洋音楽で使う12の音高の比を決定する音律である。計算上では2分の3を12回かけあわせていく。

ある音を基音(出発音)として、上記の音程を12回つみかさねていくと、12回目で、基音(の異名同音)の7オクターブ上の音が得られる。この音を7オクターブ下げると、基音と一致するはずである。これを計算式で示すと、2分の3の12乗に、2分の1の7乗をかけあわせるというものになる(オクターブの音高比は1:2)。基音と一致とするならば、この計算式の答えは1とならなければならないが、そうはならない。つまり、ピュタゴラス音律では、12回目の音を7オクターブ下げても、基音と振動数が一致することはないのである。この差をという。