音楽史トライアル(中世)

音楽理論 中世 その2

ビサンツ帝国(東ローマ帝国)においては、東方教会の音楽の伝統が受け継がれていた。ビサンツ聖歌の旋律のパターンは8つの音階に整理されたが、これはと呼ばれるものである。中世の単旋聖歌の旋法(教会旋法)は、の区別などを、このビサンツの理論から受け継いでいる。

なお、教会旋法はギリシャ名で呼ばれることも多いが、たとえば教会旋法におけるドリア旋法と、古代ギリシャの「ドーリス(ドリア)」は、同じ音程関係を持っているわけではない。このような食い違いの理由に関しては、様々な仮説がたてられている。その仮説のひとつによれば、9世紀に成立した『音楽論別記 Alia Musica』の著者が、の旋法理論を誤解して、それを教会旋法と結びつけたことが食い違いの原因である。