笛

日本は横笛の種類が多く、様々な種目で広く愛好されている証拠ともいえる。

雅楽には龍(竜)笛(りゅうてき)、高麗笛(こまぶえ)、神楽笛(かぐらぶえ)の三種があるが、代表的なものは龍笛で、唐楽や催馬楽(さいばら)などで用いられる。 能楽の笛は能管(のうかん)と呼ばれ、「のど」という独特な構造を持つため、音階が不規則である。 歌舞伎や民俗芸能で用いられる篠笛(しのぶえ)は素朴な竹製で、竹笛とも呼ばれるが、様々な長さのものがある。 歌舞伎音楽では三味線の旋律に合わせる際は篠笛、効果音的旋律は能管という具合に、複数の笛を場面によって使い分ける。 龍笛と能管は七孔、高麗笛と神楽笛は六孔で、篠笛には六孔のものと七孔のものがある。

日本の笛には唱歌(しょうが)という、メロディを歌って覚えるための方法があり、オヒャーラーなどの唱え方をする。

Music Library

名乗り笛
作曲者不詳、古典曲
成立年不詳
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能管独奏。能では多くの作品の冒頭で、まず「ワキ」(脇役を専門とする役)が登場し、自己紹介や状況説明が行なわれる。この際用いられる"名ノリ"という謡に合わせて奏されるもの。

乱序と獅子狂い
作曲者不詳、古典曲
成立年不詳
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【乱序 】
能管独奏。元来は雅楽の用語で、舞楽の「陵王」などで舞人が登場して力強く舞う部分を指し、打楽器に合わせて竜笛が3バートに分かれてカノンのようにずらしながら奏する。能の囃子では獅子の登場の際に奏されるもので、打楽器とともに能管が活躍する豪壮な雰囲気の序奏部分。歌舞伎囃子でも同じく獅子の登場に利用されている。

【獅子狂い】
能管独奏。能や歌舞伎舞踊の囃子で用いられる伝統的なフレーズの名称。獅子の登場する「石橋もの」や霊狐の登場する「小鍛冶もの」で獅子や狐の遊び狂うさまを表現している。

通り神楽
作曲者不詳、古典曲
成立年不詳
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篠笛独奏。歌舞伎音楽で、祭りや太神楽の一行が通りを流して歩く様子を描写。本来は桶胴という太鼓と竹笛(篠笛)がゆったりとしたリズムで奏する。新春を表す効果音としても利用される。

田舎笛と空笛
作曲者不詳
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篠笛(竹笛)による自由な演奏。歌舞伎舞踊の背景音楽として、厳密に決められた作品というより、演奏者の自由な演奏で独自な雰囲気を醸し出す。「田舎笛」はゆったりとした郷愁を誘うのに対し、「空笛」は悲哀感がただよう。


Episode

能管
能管
唱歌
唱歌
篠笛
篠笛
ヒシギ
ヒシギ
龍笛
龍笛
龍笛と能管
龍笛と能管

演奏とお話 西川 浩平

※ 各エピソードで五線譜が用いられている場合、絶対音の表記で統一しています。