総合音楽講座 > 第4回 楽曲分析 ウラ・オモテ > P8

ここまで「そっくりさん」?

実は、の部分の「そっくり」はこれだけではないのです。

再び旋律に目を向けてみましょう。

ベートーヴェンでは1小節目こそ二分音符・四分音符・四分音符というリズムになっていますが、2・3小節目では、2拍目を少し変形して新しいリズムを作り出し、それを反復しています。

一方、ブラームスは、ベートーヴェンの2・3小節目と同じリズムを反復しています。

更にもう一点、の最後の部分でそれまで用いられることのなかった大きな跳躍が現れます。

ベートーヴェンではソ → ミ、ブラームスではド → ラ

これらは共に6度音程というところまでそっくり同じなのです。

[譜例8]

上段 → ベートーヴェン/交響曲第9番 ( b ) ・下段 → ブラームス/交響曲第1番 ( b )

並べて見比べてみると、まさに「そっくりさん」と言えるのではないでしょうか。