総合音楽講座 > 第7回 バッハ インベンション第2番 > P8

g moll でのカノンの先行句の最初の音 mi♭→fa について、もう少し見てみましょう。

第1部は c moll で始まり、平行調 Es dur を通って属調 g moll へ向かいます。この11小節目はまだ転調の途中で、g moll は確定していません。

こういった理由もあり、sol→fa♯ ではなく mi♭→fa となっています。

けれど、この2つの音が mi♭→fa になっていることで、この拍は長七の和音が聴こえることになります。(譜例

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10小節目までの明確な進み方が、この響きによってすこし揺らされたように感じませんか?

早く次のカノンの先行句を登場させたい、けれど転調しなくてはいけないという状況を、こんな微妙な音づかいでかわし、しかもニュアンスをだしている…さすがです。